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表層の黒猫

つくずく、これらは皆、表層の黒猫に過ぎないのだな。
以前は、すぐに黒猫があばれだして、その度になんとか収めようと、なだめすかしてみたり、押さえつけてみたりしたものだが、あれ以来、そんなこともなくなった。

皆が、どうしてもそこにひっかかってしまい、自由になることが出来ない事柄なのだが、ひとたびこれが、ただの「表層の黒猫」であることがわかってしまえば、なんてこともないのに。
人はなかなかそうはならない。
実際私も、サード・インパクトが起るまでは、黒猫にずっと係っていたわけだから。

真理は、すべては一枚の写真と同じ、ただのひとつものだということ。
私がいると思っている「私」なんてものは、幻想に過ぎず、私もあなたも、男も女も、白人も黒人も、犬猫も人間も、机も椅子も雑巾も玉座も、森も山も海も空も、死んだ人も生きてる人も、なんの区別も無く、みい〜んな一緒、みんなみんな一緒なのだ!ただこれだけ。

小さいとき、親がこうしてくれなかった、ああしてくれなかった、とか、しょっちゅう殴られてたとか、いつも否定されてたとか、傷つけられてたとか、私自身もある意味そうだったのだけれど、それにずっと拘泥してた。それは、自分にとっては、重大事だったから。仕方ないことと言えば、仕方ないんだ。
そう育てられた人は、なかなかそのことから解放されない。
まずそこに気づくのが大変だ。
だけど、ニューエイジ系の心理学者などは、気づくことが出来れば、ほぼ治ったも同然みたいなこと言うけど、そうは簡単じゃない。
気づいてから、今度は、親を許しましょう、と言われるんだ。親に感謝して、親を許しましょうって。
それが、なかなか容易じゃない。
「だけど、私は、親に、こんなことされたんだ!親から、こんなことを言われたんだよ!」
それでも、親に感謝しろって。言うの?親を許せって、言うの?って。
親に虐待されたり、無視されたり、放棄されたり、ネグレクトされたりした傷つけられた人間は、なかなか出来ないんだよ。
私も、それがずっと出来なかった。
理屈、頭ではわかる。
親は、生んでくれただけでありがとうなんですよ、と。親には感謝しなくてはいけませんよ、と。
完璧な人間なんていない、完璧な親なんていないんだから、と。親も子もないんだと。

また、人に酷いことされたとか、傷つけられること言われたとか、ということもある。
自分は何も悪いことしていないのに、なんでこんな目に遭うんだとか、なんで、こんな境遇に生まれてきたんだとか、なんでこんな病気になったんだろうとか、なんでこんな怪我をしてしまったんだろうとか、いろいろな「酷いこと」がある。
ところが、自分はこんななのに、酷い目に遭っていない人や良い境遇に生まれた人や健康で幸せそうな人がいる。
その痛みや悲しみや怒りや妬みは、いかんともしがたい。
だから、他人を呪ったり、運命を呪ったりする。
するとここでは、人を羨んだり、嫉妬したり、恨んだりしちゃいけませんよ、と言われる。
それはそうだ、ごもっともだとは思う。
でも、心からそうすることは、簡単なことではない。

仏教でも、「自他不二」と言って、自分と他人は一つなんですよ、自分も他人もないんですよ、とか教えてくれるし、般若心経にも「色即是空空即是色」と書いてあって、この世の現象はすべて幻想ですよ、とも教えてくれる。
おっしゃることは、よくわかる。
でも、それが実感出来ない。体感出来ない。
きっとそれが本当なんだ、ということは、わかる。
でも、どうしてもそれが実感出来ない。体感出来ない。
実感出来れば、体感出来れば、きっとそこから解放される。


果たして、その通りだった。
そうすれば、人は、真の自由を得られるのだ。(得るという言葉も、本当は適切ではない。言葉は常に不完全だから、仕方ないのだが)
みんな、このままで、みんな一緒で、真に自由なのに、何故みんな表層の黒猫にかかずらったままなのだろう。
この、もどかしさを、どうすればいいのだろう。
ただのひとつものの、区別のない、この全てが、どんなに素晴らしいか、言葉では決して言い尽くせない。
それは、慈悲であり、愛であり、美なのだ。
だが、それは一見して、今となんら変わったところのない世界だ。
相変わらず、生まれてくるし、病気にもなるし、老いてゆくし、最後には死ぬだろう。
だけど、もはや「苦」ではないのだ。
だって、みんな一緒だから。死ぬことも生きることも同じことだから、一緒だから。親も子も、一緒だから。
日本人もアメリカ人もフランス人もケニヤ人も、一緒だから。
みんな、一緒なんだよ。区別なんてないんだから。

だけど、それに与るのは、難しいことだよな〜。
だいいち、ほとんどの人が、それを求めていないんだものな〜。
みんな、黒猫が大好きなんだよな〜、すごく不思議だけど。
なんでなんだろう…
by nyoirin | 2012-05-19 17:25 | 日記

2015.4.1.より、身の回りの小確幸(小さいけれど確かな幸せby村上春樹)を見つけてつぶやきます。


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