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STABAT MATER--スターバト マーテル--

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 一週間前のある朝、突然私の頭に、『スターバト マーテル』なる言葉が浮かんできた。それから、顔を洗っているときも、歯を磨いているときも、朝食を作っているときも食べているときも、頭の中で、その言葉はくり返しこだましていた。途中家人と話でもすれば、それきりどこかに消えていってしまってもよさそうなものなのに、何をしても人と話しても、頭の中のこだまは消えなかった。 
 しかも、そのとき私には『スターバト マーテル』とはいかなるものかも、正しくは知っていなかったのだ。たぶん、曲の題名で、たぶんオペラか合唱曲なのではないか?ぐらいしかわからなかった。
 にもかかわらず、何故、その言葉がふいに現れて、しかも居座ってしまったのだろう。それは今もって謎なのだが。

 その夜、そのことを主人に話したところ、翌日出がけに一枚のCDを渡してくれた。どうやら主人のCDの暗黒山から、発掘してきてくれたらしい。それがこれ、『ニコラウス・アーノンクール指揮 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス ペルゴレージ作スターバト・マーテル』
 ううむ。ペルゴレージという名前も、私には記憶が無い。なのに何故?
 さっそく聴いてみた。第1曲目「悲しみに沈めるみ母は」。遠い昔か、1〜2度聴いたことがあるかもしれないくらいな感じ。聴きながら、解説を読む。今や、『「スターバト・マーテル」といえば即座にペルゴレージの名前が挙げられるといっても過言ではない』とある。しかし実際には、十字架の傍らにたたずむ聖母の嘆きを歌った『スターバト・マーテル』はグレゴリオ聖歌のレパートリーとしては、13世紀からの伝統を有しているらしい。十字架の傍らにたたずむ聖母の嘆き?!これか?もしかして、これかー?
 私はまた、十字架上のヨハネの世界に、アヴィラの聖テレジアの世界に、誘われてしまうのか?
 私はまた、ついうっかりして、大切なものをどこかに置き忘れてきてしまったのか?そしてそれに気づかぬまま、しばらく歩いてきてしまったのか?
 などと、つらつら思った次第である。

 いずれにせよ、無意識のうちに、何かで目にしたか耳にしたか、なのだろうと思う。が、その謎は解けないまま、今も、これを聴きながら、書いている。聴いていれば、いつか何かわかるかもしれないと思いつつ。これは何かの『啓示』なのかもしれないと、思いつつ。
by nyoirin | 2007-09-19 16:10 | 音楽

2015.4.1.より、身の回りの小確幸(小さいけれど確かな幸せby村上春樹)を見つけてつぶやきます。


by nyoirin